メランコリック・ウォール
第43章 灼熱
深いキスをされ、彼ももうすぐ達するのだと分かった。
いつもそうするからだ。
「俺も…――――」
「あぁっ…キョウちゃん…ッ――このまま…っ」
足を絡みつけ、ねだった。
「…ハァッ…―――いいの…?―――」
「……――うん」
「…っ…出すよ…―――」
「あああっ…ん、ん…っやぁん…―――」
膣の中でビクビクと跳ね上がるペニスを感じ、脳天まで突き上がった。
キョウちゃんの精液が私の中に注入されているのがよく分かった。
女性の喜びとはこういうことか、いや、きっとこれは世界中で私だけが感じている快楽だろう。
やがてぬぷりと肉棒が抜かれると、少ししてキョウちゃんの精液が少しずつ漏れ出る。
「はぁっ……はぁっ…―――」
互いに荒ぶる呼吸の中、汗ばんだ大きな体が私を包む。
「……アキ」
「…ん…」
「一緒に暮らそう。」
私は返事をしないまま、目一杯の力で彼にしがみついた。
2人の汗も、体液も、この灼熱の地でひとつになった。
-----
最終日、レンタルしたバイクで、これまでで一番の遠出をした。
40分ほど走り到着したのはある海岸だ。
「ここでさ、よくサーフィンしたんだ。」
4つ並んでいる海の家らしき建物には、それぞれに現地の人が佇んでいた。
キョウちゃんに手を引かれ、いちばん左のお店へ入った。
「イラシャイマセェ。ゲンキ?ビル、ノム?アハハ」
にこやかに挨拶する店の人は、60歳くらいの女性だった。
「おばちゃん、俺のこと覚えてる?」
「ンア?!ンンーー…ミタコトアル。ンーー…!」
思い出そうと必死にキョウちゃんの顔を見つめる女性に、彼はポケットから1枚の写真を差し出した。
見るとそこには若いキョウちゃんとサーファー数人、そしてこの女性が写っている。
「アーッ!!!キョウヘイネ!?!?ワァアーー!キョウヘイ、マタキタネ?!」
10年ぶりなのに名前まで思い出すなんて、当時キョウちゃんは相当ここに通い詰めていたとみえる。