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メランコリック・ウォール

第12章 願い事は



「「あ!」」


また、小さな流れ星が輝く。


「ふふっ、見えたね」


「うん(笑)」


「願い事した?」


「もちろん。いつもしてるから、流れ星いつでも来いってかんじ。」


「えぇ?なにそれぇ(笑)」


「…ほんとだよ。」


私を包む力が強くなる。

苦しいほどの抱擁に、胸の奥がきゅっと疼く。



「…どんな願い事?」


「内緒。アキさんは?」


「…内緒。」


ゆっくりと彼の方を向き、口づけた。

何度目だろう、こうして舌を絡ませるのは…ーーー。




「…名前呼んで」


「んぅ…キョウヘイくん…」


「ふふっ」


彼は何だか嬉しそうに笑い、私の浴衣の襟元に舌を這わせた。



「んんっーー…ハァ…」


柔らかな舌が、生暖かい唾液でいやらしく滑る。


「気持ちいい?」


「うん…」


もう一度やさしくキスをして、私は彼の唾液をコクリと飲み込んだ。



「キョウヘイくん…」


「ん?」


「私の名前も呼んで」


「アキさん。」


「もっと…」


「アキさん。好き。」


「ん…」


「…アキ。」


「…えへへ」


「嬉しいの?」


「うん」


「アキちゃん。」


「それは嫌(笑)」


「はは(笑)じゃあ、アキ」


「うん…」



彼は私の浴衣を少しずらすと、「薄くなってる。」とつぶやく。


すでに何度も付けられている赤い痕に、また唇を重ねた。



「んっ…」


濃く色づいた痕は、何日も私をときめかせてくれる。




「そろそろ行かないと…ゆりちゃんが待ってるの」


「…そっか、分かった。」


キョウヘイくんはいつも、キスより先は望まない。


「部屋まで送る。」


「いいよ、誰かに見つかっちゃうかもしれないし。」


「ん…」


「あ、そうだ。」


ふと思い出した。


「何?」


「キョウヘイくん…うちにゆりちゃん送ってくれたとき、ボタン落とさなかった?」


「ボタン?」


「そう…茶色の、木目っぽいの」


「あぁ…俺かもしんない。家帰ったら見てみる」


「うん」


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