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どうしよう。

しらばっくれるか、正直に打ち明けるか…ーーー。


私がしばらく黙っていると、ゆりちゃんは明るく言った。


「でも、良いんです！違うかもしれないし、言いたくない事もありますもんね！」


「ゆりちゃん…」


「ごめんなさい、急にこんなこと…。私、自分の話をしたくって。でもその前にアキさんのこと知りたいって、自分勝手なこと考えちゃって…」


「なんだか話が読めないんだけど…自分勝手って？」


「私……」


「なにかあったの？」


「私、本当は今…付き合っている人がいるんです」


「そうなの…？！」


「はい…でも…」


「でも…？」


「その人、結婚してて……奥さんも子供もいて」


「…！」


衝撃だった。


まさかゆりちゃんにそんな相手がいるなんて、まったく気が付かなかった。


しかも既婚者だなんて、想像もしなかった。



「こんなの、駄目ですよねっ…分かってるんです。だから、誰にも言ってないんです…」



ダメな事だと、一番よく分かっているのは自分。

それでも…どうしてもやめる事ができない。

それはまさに今、私にも痛いほど分かる…ーー。



「私には話してくれたんだ…？」


「ごめんなさい、こんな話。勝手に喋ってアキさん困らせて…。森山さんの話だって、もしそうなら私のこの状況も言いやすいなって、…私のズルさなんです！」


目元を赤くして訴えるゆりちゃんが無性に愛おしくなる。


いつも素直で明るい彼女が、今は切なげな表情を浮かべている。



「ゆりちゃん、…ズルいのはおあいこかな」


「…え？」


「ん…私、森山さんと…」


「つ、付き合ってるんですか？」


「えっと…そういう言葉は交わしてないから分からないんだけどね」


「じゃ、じゃあ…あのキスマークも…？！」


「うん…」


「…！！！！」


ゆりちゃんは驚きで言葉を失う。


ひょうきんな顔で私を見つめ、呼吸さえも止まっているように見える。


「ふっ…ちょっとゆりちゃん、なんて顔するのよ」


「いや、だって…だってまさかっ…！」