メランコリック・ウォール
第16章 ラムネ味
「週に1度は会ってます。でも…もっと会いたいって、わがまま言っちゃいそうになりますよぉ」
「うん、…好きな人とは毎日でも会いたいもんね」
「その点、アキさんは週5で森山さんの顔見れますもんね。うらやましいです!」
「あはは…最近は忙しくって、なかなかゆっくり話せないけどね。」
「オサムさんには、怪しまれたりしないですか?」
「ぜ~んぜん。あの人、私のことはどうでもいいからね。他のことに夢中なの、ふふ」
「他のこと…?」
私はこれまでに二度、オサムの部屋で発見してしまったAVの話をした。
「…っありえなーーい!!!」
「あはは!」
「まぁ…100歩譲って、AVを見るのは良いとして。それをアキさんに知られても平気な神経が分かりません。」
「んー…。気付いてるかな?」
「だって、綺麗に整頓しておいたんでしょう?そりゃ、気付いてますよー!!(笑)」
「へへ、やっぱりそうだよね」
「オサムさん、いつも親方の孫にデレデレだなぁって思ってはいたけど…本当に、そっちの趣味だったんですね」
「そうみたい。桜子ちゃん若くて可愛いから、おかずにされてるかもね~」
私がおどけると、ゆりちゃんは身震いの仕草をした。
「アキさんは平気なんですか?そういうの知っても…」
「AV?ぜんぜん平気だよ。あの人がどんな性癖かとか、全く興味ないもの」
「ははっ。でも、浮気されたらさすがに…ですよね?」
「何とも思わないよ。っていうか…私も少なからずやましい事してるし、文句言えない」
「あ、そっか。だけど森山さんとは、体の関係は無い…んですよね?」
「う、うん…」
「やましいはやましいですけど、浮気ってどこからなんでしょうね。私は完全にアウトですけど…」
ゆりちゃんは自嘲気味に笑う。
一瞬、トモキくんとゆりちゃんが寄り添う姿を想像してしまう。
「どこからだろう?エッチしたら浮気、っていうのはハッキリ分かるけど…」