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おにぎり短編集

第2章 カレーライス

そろそろ、前に会った時から2ヶ月が過ぎようとしている。無意識に寂しさみたいなものを抱えていたのかもしれない。
わたしは手を動かしながら、思いつくままにぽつぽつと言葉を紡いだ。

「今日、駅ですれ違った女の人がいてさ」

「うん」

「電話してて、カレー!って言ってたんだよね」

「いいな、カレー。久しく食ってないな」

「うん……でさ、絶対、彼氏から電話で、同棲してるだろうなぁって思ったら、なんか羨ましくなっちゃって」

「ふむ。いや、彼氏とは限らんだろ。母さんとかかもしれないよ」

「お母さんって! ……そんなテンション上がるかね」

「めっちゃカレー好きとかかもしれないじゃん」

「電話かけてきてさ、わざわざカレーって言うお母さん、いると思う?」

「娘がカレー好きとか?」

「え〜、あのテンションの上がり方は彼氏でしょう。こう、なんか声が弾んでたもん」

あーだこーだ言いながら、結局話を詰めてもわからないことを議論する。

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