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おにぎり短編集

第3章 終電

「い、いまは……1時……」

「終電、何時だった?」

「23時40分……です……」

語尾が縮んで、敬語になってしまう。

「なんで終電逃した時、すぐ連絡しなかった?」

「そ……それは……」

……言いにくかったのだ。終電乗れなかったって言ったら、絶対に怒られると思っていたから。
怒られることを先延ばしにして、帰ってきてからこの状況だ。
口ごもっていると、ため息混じりに彼が声を出した。

「……心配してたんだよ。言わなきゃわかんないほど子どもじゃないと思ってた。でも言わないとわかんないんだね」

……怒っているというか、呆れている。がっかりしているに近いかもしれない。

それをようやく理解して、はっとする。

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