おにぎり短編集
第4章 タイトル未定
その先輩が自分から、彼女の話をしだした。
前々から彼女がいることは聞いていた。先輩の6つ年下の彼女は、わたしと同い年だということ。
社外にいて、休みが合わないとなかなか会えないということ。それでもまあ上手くやっている、というのがさらっと先輩から聞いた事で、それ以上のことは全く知らなかったし、先輩から話そうとする気配も感じなかった。
それが今日、唐突に。
「そろそろ、付き合って3年になるし。結婚を考えようかなって思っていたんだけれどさ」
結婚……。
相槌を打ちながら、出たワードの重さにフリーズしそうになる。そうか、そうだよなぁ。わたしも今年で20代後半に差し掛かるし、先輩は30代だ。自然とそういう運びになっても何らおかしくは無いんだと思い知る。
相談のような口ぶりに、いつもとは違う、パーソナルスペースの内側に1歩踏み込むような話だと確信する。誘われて、足を踏み入れないという選択をする必要も感じなかったので、仕事の話と同様に、耳を傾けていた。
前々から彼女がいることは聞いていた。先輩の6つ年下の彼女は、わたしと同い年だということ。
社外にいて、休みが合わないとなかなか会えないということ。それでもまあ上手くやっている、というのがさらっと先輩から聞いた事で、それ以上のことは全く知らなかったし、先輩から話そうとする気配も感じなかった。
それが今日、唐突に。
「そろそろ、付き合って3年になるし。結婚を考えようかなって思っていたんだけれどさ」
結婚……。
相槌を打ちながら、出たワードの重さにフリーズしそうになる。そうか、そうだよなぁ。わたしも今年で20代後半に差し掛かるし、先輩は30代だ。自然とそういう運びになっても何らおかしくは無いんだと思い知る。
相談のような口ぶりに、いつもとは違う、パーソナルスペースの内側に1歩踏み込むような話だと確信する。誘われて、足を踏み入れないという選択をする必要も感じなかったので、仕事の話と同様に、耳を傾けていた。