おにぎり短編集
第1章 あいす
朝6時、なんだか目が冴えてしまって、彼を起こさないように布団から抜け出た。
酒を飲んだ日の翌日は、やたらと目が冴えるのが早い。
朝ごはんにはまだ早いし、二度寝するにもできなくて、何かないかと冷凍庫を開けてしまった。
入っていたのはこの間セールで安くして買った、クッキー入りのチョコレートアイスが2つ。
無意識に手を伸ばして、その片方を手に取ると、蓋を開けていた。
キッチンの椅子に腰掛けて、昇ってくる朝日を見ながら、アイスを口に運ぶ。
冷たさが心地よくて、何か、無駄に冴えてしまって熱を帯びていた頭が、すっとするような感覚になった。
素足だった足元から、ゾクゾクと何かが這い上がってくる。
食べ終わる頃に、ひとつ身震いをして、スプーンを洗って元の場所に戻すと、そっと布団に潜り込んだ。