おにぎり短編集
第4章 タイトル未定
「……いまさ、おいでって行ったら、絶対に来るよね?」
おもむろに、先輩はそう言った。
その言葉を聞いて、しばらくしていなかったことに対して、心の奥底で自分の欲が激しく動くのがわかった。
「行ったら、同罪です。先輩もわたしも」
なけなしの理性でそう言って、笑ってみせる。
……でも、お互いにわかっていた。自分たちは人肌に飢えているということが。
恋人というストッパーが、いまはここでは“足枷”
となりかけている。
「……おいで」
先輩の声のトーンが、低く響くものになる。真剣な眼差しだったことが妙に嬉しかった。一時的なお互いの欲を解消するだけのものかもしれないけれど、適当には抱かないという意思みたいなものが見えたから。
しかし、わたしは先輩の胸に飛び込めずにいた。
恋人というストッパーが、完全に足枷に変化したことに気づく。
躊躇っているわたしの表情を見て、先輩がふっと表情を緩めた。
「まぁ、来るも来ないも自由だけれど」
「……ずるい」
わたしがそう言うと、もう一度、真剣な表情でわたしの目を見る。
「じゃあ、おいでよ。ほら」
……だから。我慢できるわけなかったのだ。
全ての選択権はわたしに握らされたままで、でも主導権は先輩にあって、それがもどかしい。
引き込まれた、先輩の腕の中。
久しぶりに誰かの体温に触れて、一度だけ飛び跳ねた心臓が、激しく脈を打つ。
「……どきどきしてるの?」
「……するに、決まってるじゃないですか……こんなの……」
先輩が、わたしを抱く力を強くする。
熱くて、体の内側から溶けてしまいそうだった。
おもむろに、先輩はそう言った。
その言葉を聞いて、しばらくしていなかったことに対して、心の奥底で自分の欲が激しく動くのがわかった。
「行ったら、同罪です。先輩もわたしも」
なけなしの理性でそう言って、笑ってみせる。
……でも、お互いにわかっていた。自分たちは人肌に飢えているということが。
恋人というストッパーが、いまはここでは“足枷”
となりかけている。
「……おいで」
先輩の声のトーンが、低く響くものになる。真剣な眼差しだったことが妙に嬉しかった。一時的なお互いの欲を解消するだけのものかもしれないけれど、適当には抱かないという意思みたいなものが見えたから。
しかし、わたしは先輩の胸に飛び込めずにいた。
恋人というストッパーが、完全に足枷に変化したことに気づく。
躊躇っているわたしの表情を見て、先輩がふっと表情を緩めた。
「まぁ、来るも来ないも自由だけれど」
「……ずるい」
わたしがそう言うと、もう一度、真剣な表情でわたしの目を見る。
「じゃあ、おいでよ。ほら」
……だから。我慢できるわけなかったのだ。
全ての選択権はわたしに握らされたままで、でも主導権は先輩にあって、それがもどかしい。
引き込まれた、先輩の腕の中。
久しぶりに誰かの体温に触れて、一度だけ飛び跳ねた心臓が、激しく脈を打つ。
「……どきどきしてるの?」
「……するに、決まってるじゃないですか……こんなの……」
先輩が、わたしを抱く力を強くする。
熱くて、体の内側から溶けてしまいそうだった。