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貴方がマゾに堕ちるまで

第1章 彼女との出会い

『じゃあ今日はよろしくお願いしますね。・・・普通ならお店の名前でご挨拶するんですけど・・・せっかくなので本名の香澄って呼んでくださいね?』

隣に座る香澄さん。その瞳にじっと見つめられると何故か素直に受け入れてしまう。

『お店からは2時間希望って伺ってますけど、時間変更します?』

彼女の問いにそのまま当初の予定通りで構わないと伝える。

『ありがとう。じゃ連絡しちゃうからちょっと待っててくださいね』

お店に電話して時間を伝える香澄さん。通話を終え携帯を目の前のテーブルへと置く。

『Sコースって事は普段から責めるのが好きなんですか?』

香澄さんの言葉にドキッとする。見知らぬ相手なら全く気にならない質問なのかもしれないが今は違う

普段から。その言葉の内に含まれるのは自分の家庭内の事だ。

『ふふ・・・どうしました?もしかして恥ずかしいですか?奥さんとどんな風にエッチしてるのか知られちゃうのが・・・』

香澄さんの悪戯っぽい笑みを前に返答に困る

普通ですよ。

そう言おうとした瞬間に・・・肩を掴まれベッドに押し倒される。

一瞬の出来事になす術もなく、押し倒されたまま香澄さんに唇を奪われた。

舌が口の中に侵入し、私の舌を絡め取る。

ホテルの部屋の中に響く音は絡み合う唾液の音と2人の奏でる僅かな喘ぎ声まじりの吐息の音

香澄さんのキスはとてつもなく上手だった。自分の舌を巧みに絡めて全く逃げられない。

妻ともこんなキスをした事はなかった。優しさと愛情の口付けではなく、互いの興奮を高め合うための貪る様なキス。

それは経験した事のない蕩ける様な気持ち良さだった。その上、妻とは違う髪の香りが鼻腔を刺激する

妻以外としてしまった事への罪悪感がなかったわけではない。だけど背徳的な行為をしてしまった事実が、より強く快感を得る結果になっていた。

どれくらいの時間キスをしていたのか、わからなかった。時間の感覚すらキスだけで奪われた。

香澄さんの執拗なまでの舌による蹂躙が終わった時、疲れ切っていたのは自分だけだった。

ゆっくり離れていく唇から一筋の唾液が糸のように垂れ落ちる。

『ふふ。気持ち良さそうにしてくれて嬉しいです。奥さんとこんなキスした事なかったんじゃないですか?』

その言葉に自分はこの人には敵わない。なんとなくそう思ってしまい彼女から視線を逸らした。

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