テキストサイズ

そして愛へ

第1章 そして愛へ

         25


 朝、朝食を準備している進さんと顔をあわせるのが、照れくさかったです。
 「おはようございます」
 「おはようございます」
 進さんも、わたしを見るたびに、すぐ目をそらすんです。いつになく、ベーコンエッグをすこし焦がしました。牛乳が、吹きこぼれました。わたしが、クスッと笑うと、進さんが、笑いながらべーってしました。進さん、可愛い。わたし、大笑いです。進さんが、朝食を食べながら、
 「かおりさん。美味しいものを食べにいきましょう。きょう  の夜か、あしたの夜の、どちらがいいですか?」
 「わたし、どちらも予定はありません」
 「じゃあ、はやいほうがいいから、今夜、ステーキか天麩羅  を食べにいきましょう。ほかのものでもいいですよ」
 「わたし、天麩羅を食べたい」
 「予約がいると思うんだけど。七時でいい?」
 「はい。大学から、四時には帰れると思います。
  進さん。きのうのご褒美ですか」
 「えっ。うん。まぁ。それもあるけど。まぁ、あれです。そ  の、美味しいものを食べるのはいいじゃない」
 「あわてちゃって。進さん、可愛い」
 「ごほっ」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ