
官能マシン
第1章 官能マシン
「じゃ、お先に失礼しまーす!」
いつもの調子で声をかけ、慶子は席を立った。
足取りも軽やかに、部屋から出ていく。
今日はいつにも増して機嫌がいいらしい。
慶子が部屋から消えると、殺風景な事務室には、また仕事の音だけが残った。
信一は、さっきの慶子の独り言が妙に気になっていた。
「……まさか」
信一は手を止めた。
「俺の携帯の着信音か?」
自分の携帯電話が鳴るはずなどない。
そう思いながらも、信一はカバンの底から携帯電話を引っ張り出した。
そして、液晶画面を見た。
「ツライ シニタイ」
とんでもないメッセージが入ってきた。
「間違い電話だよ。困るなぁ」
ピピー。
次のメッセージがまた入ってきた。
「ヘンジ ドウシテ クレナイノ?」
「――何だよ、間違いだって。ちゃんと番号を押してくれよな」
ピピー。
また入ってきた。
「ヘンジ シテヨ、シンイチ!」
信一はびっくりした。
偶然にも、名前まで同じだった。
慌てて取扱説明書を広げる。どうやら、掛けてきた相手の番号が分かる機能が付いているらしい。
相手に間違いを教えてやろう。
「間違えて掛けてます。番号を確かめてください」
慣れない文字入力に手間取りながら、ようやくメッセージを打ち終える。信一はそれを送信した。
「ナンデ ソンナ ウソ ツクノ シンイチノ イジワル ジュン」
「――な、なんだ、こいつ。間違いだって教えてやってるのに……」
ピピピー。
「シンデ、バケテ デテヤルゾ! コラ! シンイチ」
「おいおい、冗談はよしてくれよ」
信一は青ざめた。
相手に勝手に死なれても困る。まして、自分のせいだと思われたら後味が悪い。
信一は慌てて、またメッセージを打った。
「ゲンキ ダシテ、ガンバレ! ファイト! シンイチ」
冷や汗をかきながら、ようやく送信する。
しばらくして、返事が届いた。
「モウ スコシ ガンバッテ ミル アリガト シンイチ チュー ジュン」
信一は、なぜだかポッと顔を赤らめた。
こんな気分になったのは、何年ぶりだろう。
いつもの調子で声をかけ、慶子は席を立った。
足取りも軽やかに、部屋から出ていく。
今日はいつにも増して機嫌がいいらしい。
慶子が部屋から消えると、殺風景な事務室には、また仕事の音だけが残った。
信一は、さっきの慶子の独り言が妙に気になっていた。
「……まさか」
信一は手を止めた。
「俺の携帯の着信音か?」
自分の携帯電話が鳴るはずなどない。
そう思いながらも、信一はカバンの底から携帯電話を引っ張り出した。
そして、液晶画面を見た。
「ツライ シニタイ」
とんでもないメッセージが入ってきた。
「間違い電話だよ。困るなぁ」
ピピー。
次のメッセージがまた入ってきた。
「ヘンジ ドウシテ クレナイノ?」
「――何だよ、間違いだって。ちゃんと番号を押してくれよな」
ピピー。
また入ってきた。
「ヘンジ シテヨ、シンイチ!」
信一はびっくりした。
偶然にも、名前まで同じだった。
慌てて取扱説明書を広げる。どうやら、掛けてきた相手の番号が分かる機能が付いているらしい。
相手に間違いを教えてやろう。
「間違えて掛けてます。番号を確かめてください」
慣れない文字入力に手間取りながら、ようやくメッセージを打ち終える。信一はそれを送信した。
「ナンデ ソンナ ウソ ツクノ シンイチノ イジワル ジュン」
「――な、なんだ、こいつ。間違いだって教えてやってるのに……」
ピピピー。
「シンデ、バケテ デテヤルゾ! コラ! シンイチ」
「おいおい、冗談はよしてくれよ」
信一は青ざめた。
相手に勝手に死なれても困る。まして、自分のせいだと思われたら後味が悪い。
信一は慌てて、またメッセージを打った。
「ゲンキ ダシテ、ガンバレ! ファイト! シンイチ」
冷や汗をかきながら、ようやく送信する。
しばらくして、返事が届いた。
「モウ スコシ ガンバッテ ミル アリガト シンイチ チュー ジュン」
信一は、なぜだかポッと顔を赤らめた。
こんな気分になったのは、何年ぶりだろう。

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