
官能マシン
第1章 官能マシン
*
翌日、午後六時。
係員が退出し、信一だけになった事務室で、携帯電話の呼び出し音がまた鳴った。
ピピピー。
急いでメッセージを確認した信一は、ホッとした。
「シゴト ジュンチョウ ダヨ シンイチノ オカゲ ジュン」
メッセージだけでは、相手がどんな話し方をする女なのか分からない。
どんな女なんだろう。
信一は、名前と年齢を聞いてみることにした。
「ナマエハ? ナンサイ?」
しばらくして返事が届いた。
名前は純子。二十歳。
「純子……」
信一は、思わず画面を見つめた。
妻と同じ名前だった。
間違い電話の相手が、自分に妙に好意的なのも不思議だった。
まるで、ずっと前から付き合っているかのように、信一のことを知っている。
ふと、その謎の女に会ってみたいという思いが湧いてきた。
駄目でもともとだ。
信一は、思い切って一言だけ打った。
「アッテ ミタイ」
思いがけない返事が返ってきた。
「Aエキ キッサフルート 7ジ マツ ジュン」
信一は驚いた。
しかし、不思議とためらいはなかった。最近、妻の帰りはいつも遅い。別の女性に会うことは後ろめたい気もしたが、少しだけ会ってみたいと思う心が背中を押した。
退社するなり、A駅へ向かった。
駅前にある喫茶フルートは、結婚前、純子とよく待ち合わせをした店だった。
七時十分前。
信一は胸をドキドキさせながら、喫茶店に入った。
店内はアベックでいっぱいだった。
辺りを見回してから、信一はあることに気づいた。
――そういえば、女の顔を知らない。
自分は相手の顔を知らないのだ。
七時を過ぎても、女は現れなかった。
八時を回った。
にぎやかだった店内から、アベックたちも一組、また一組と目的の場所へ散っていった。
やがて、信一だけが静かな店内に取り残された。
その時、携帯電話が鳴った。
「スコシ オクレル マッテテ シンイチ ジュン」
やはり来る。
しかし、もう九時だ。
翌日、午後六時。
係員が退出し、信一だけになった事務室で、携帯電話の呼び出し音がまた鳴った。
ピピピー。
急いでメッセージを確認した信一は、ホッとした。
「シゴト ジュンチョウ ダヨ シンイチノ オカゲ ジュン」
メッセージだけでは、相手がどんな話し方をする女なのか分からない。
どんな女なんだろう。
信一は、名前と年齢を聞いてみることにした。
「ナマエハ? ナンサイ?」
しばらくして返事が届いた。
名前は純子。二十歳。
「純子……」
信一は、思わず画面を見つめた。
妻と同じ名前だった。
間違い電話の相手が、自分に妙に好意的なのも不思議だった。
まるで、ずっと前から付き合っているかのように、信一のことを知っている。
ふと、その謎の女に会ってみたいという思いが湧いてきた。
駄目でもともとだ。
信一は、思い切って一言だけ打った。
「アッテ ミタイ」
思いがけない返事が返ってきた。
「Aエキ キッサフルート 7ジ マツ ジュン」
信一は驚いた。
しかし、不思議とためらいはなかった。最近、妻の帰りはいつも遅い。別の女性に会うことは後ろめたい気もしたが、少しだけ会ってみたいと思う心が背中を押した。
退社するなり、A駅へ向かった。
駅前にある喫茶フルートは、結婚前、純子とよく待ち合わせをした店だった。
七時十分前。
信一は胸をドキドキさせながら、喫茶店に入った。
店内はアベックでいっぱいだった。
辺りを見回してから、信一はあることに気づいた。
――そういえば、女の顔を知らない。
自分は相手の顔を知らないのだ。
七時を過ぎても、女は現れなかった。
八時を回った。
にぎやかだった店内から、アベックたちも一組、また一組と目的の場所へ散っていった。
やがて、信一だけが静かな店内に取り残された。
その時、携帯電話が鳴った。
「スコシ オクレル マッテテ シンイチ ジュン」
やはり来る。
しかし、もう九時だ。

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