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官能マシン

第1章 官能マシン

 店内に入ると、昨日の店員を見つけた。

「お客様、昨日の商品はいかがでしたか?」

 店員はニコニコしながら近づいてきた。

「例の、当社開発の三D版官能マシンですよ。あれなら、お話官能ロボットが対応してくれますからね。退屈や欲求不満を紛らわすには最高だったでしょう?」

「えっ……?」

 信一は店員の顔を見つめた。

「携帯電話じゃなかったのか?」

「はぁ?」

 店員は目を丸くした。

「携帯電話ですか?」

「だって、昨日あなたが……」

 信一はそこまで言って、昨日の店員との会話を思い出した。

 自分は、慶子が使っている携帯電話と同じようなものだと勝手に思い込んでいたのだ。

「……俺は、とんでもない勘違いをしていたのか」

 信一は自分自身にあきれた。

 店員から、あらためて商品の機能について説明を受ける。

 そして信一は、昨日の使用感について話した。

「なるほど。まるで本物の人間といるような感覚だった、と?」

「そうなんだ。あまりにも本物そっくりだったから、驚いたよ」

「それはよかったです。お気に召していただけたようで、こちらもうれしいですよ」

 店員は得意げに胸を張った。

「ホログラフィー機能と神経作用ベッドの組み合わせですからね。それに、都内全域のホテルのベッドには、音響や振動、温度を組み合わせて官能機能を発生させる周辺装置もセットしてあります」

「そんなところまで……」

「ええ。完全ウハウハ官能機能一〇〇パーセントを目指して開発した、画期的な商品なんですよ」

 店員の説明では、町の何箇所かにデートスポットが用意され、そこに映像を映し出す装置が設置されているという。ベッドに敷き詰めた布団には特殊な官能装置が埋め込まれていて、まるで本物のSEXを体感できる。完璧な疑似SEX官能マシンなのだそうだ。

 相手をしてくれる女性は、人工知能(AI)付きコンピュータが信一の理想の女性像を分析して作り出す。だから、好みの女性にほぼ一〇〇パーセント合致し、その分だけ快楽も増幅されるらしい。

 信一は、最近のつまらない生活から抜け出して、激しいSEXをしたいという妄想を抱いていたのだろうか。

 昨日の行為を思い返してみる。

 最近は、仕事が忙しい純子と会話する機会も減っていた。

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