🕯️悪夢の神様🕯️
第1章 深夜0時の事件
「それに、弟もいますから――――跡取りだの、後継者だのは出来のいい弟にとっくに決まってましたしね」
「――――後継者って…皇輝の家は…名家か何かか?」
“名家”――――言われてみれば…俺の家は何百年も続く…
「華界の…家柄?――――今じゃぁ、華道の世界で活躍する…何て言ったっけ――――…よくわかんねぇ~す」
俺は自分の家に興味がなかったから…覚えていないが――――…かなり有名な華道家の家らしい。
祖父は、めったに選ばれない総華督だったし、叔父も――――引退したが…副総華督を勤めいた?らしい。
もちろん俺の父親も母親も…華道関係の仕事で…家にはいなかった。
広い家で――――俺と弟は家政婦と警備の数名と暮らしていた。
俺は勉強が苦手だった…
だから頻繁に来る家庭教師から逃げて、逃げて――――…隠れて…やり過ごしていた。
そんなある日…隠れていた俺が目にしたのは…
俺がいつものように逃げた事をいいことに…飾られていた絵画を盗もうとしていた家庭教師の姿だった!
俺はその家庭教師を拳で成敗した!
だが――――それがいけなかった…
その家庭教師は父の師匠の息子だったらしく…遊ぶ金欲しさに盗もうとしたらしいが――――…
両親は、盗みを働こうとした師匠の息子を責めるのでなく…
師匠の息子をボコボコにした俺の事を――――ひどく責めた。
「結果的に盗んでいないのだから!暴行を働いたお前が悪い!」
と――――…。
俺が、止めたから――――盗まれなかっただけで…、俺が何もしなければ…盗まれていたのに…この親は何を言っているんだ?と、両親の忖度のぶっ壊れ方に唖然としたもんだった。