🕯️悪夢の神様🕯️
第15章 嘘を重ねる女
カラーになった世界で俺は再び横沢と少年を見る。
すると、横沢の近くに転がるオレンジジュースの入ったグラスに視線が向いた。
ガクガク震え泣いている少年は――――…やっと動き…息が止まった横沢の体を『お兄ちゃん!お兄ちゃん!お兄ちゃん!!!』と、言って揺さぶる。
と、そこへ――――…騒ぎを聞き付けた…若作りの女が入ってきた…
と、二人の状況に悲鳴を上げた女は…横沢の体を揺さぶる少年を抱きかかえ――――横沢から距離を取る!
『囲知矢(いちや)!貴方は悪くない――――悪くないわ!』
『お兄ちゃんが!お兄ちゃんがぁぁぁ!』
女は囲知矢(いちや)と言う少年を抱きしめ――――…倒れる横沢を睨む。
『――――大丈夫よ…大丈夫よ…貴方は、な~んにも悪くないから…お兄ちゃんが間違って…激薬を飲んじゃったのが悪いの…これは事故よ?事故…お兄ちゃんのおっちょこちょいが招いた…事故…』
『でも、でも――――お兄ちゃん…に…ジュース持って…行ったのは僕だ…よぉ…、お母さんが持って行けって…』
『違う、違うでしょ?――――囲知矢…違うでしょ?』
優しく、洗脳するかのように耳元で――――囁く女に…
少年は苦しそうに涙を流す…
『お兄ちゃんが――――勝手に…飲んだ…間違って飲んだ…ね?
囲知矢…お母さんはこの、コップをテーブルに持って行ってもらっただけ…飲ませるつもりはなかった…だって、激薬だもの…そんなの飲んだら…死んじゃうもの!』
『――――間違えて…飲んだ…の?』
『そうよ――――お兄ちゃんが、間違えて飲んだの…囲知矢のせいじゃない…大丈夫よ…。
色がオレンジジュースに似てるから…囲知矢は飲まないけど…陽斗矢は飲んでしまったのね……』