🕯️悪夢の神様🕯️
第15章 嘘を重ねる女
そこは――――…歪みに歪んでいたが…
昔の風景――――…
テレビの音も、人の話し声も、周りの雑音も……
どもって…歪んで聞こえる。
『咲枝ちゃんは――――可愛いなぁ』
『うん!』
『咲枝は我が家の宝なんですよ』
『咲枝は天使だから――――悪いことはしないのよ』
『うん!』
全ての会話が――――ゴワゴワと聞こえ…やっぱり、水の中にいるみたいに聞こえる。
気持ち悪い…吐き気かする…
たが、頭の中に現れたビジョンと声に…なにかを見つけないと……今…この状況を理解できる術はないと…
俺は、ファイティングポーズで踏ん張る。
すると、花瓶を割ったその子は――――悪びれもなく飼い猫のせいにした。
飼い猫は、高額な花瓶を壊した罪で保健所に連れられ…刹処分された。
そのつぎは、友達の持っていた人形が欲しいと…駄々をこね――――同じ物を新しく買ってもらったが…友達の所有している物が欲しかった事に気がつき…
彼女に虐められたと嘘をつき…お詫びにと…彼女の大事にしていた人形を要求した――――…
狙われた子にとっては…死んだ祖母の形見だった人形だが…バカ女はそれを慰謝料にと要求し、まんまとせしめた。
だが、手に入るとあっという間に興味を無くし…
数ヵ月後には、せしめた人形はおもちゃ箱の底に沈み――――…その年の大掃除で処分されることとなった。