🕯️悪夢の神様🕯️
第2章 命の恩人!?
ようやく許可が降り、鋏(はさみ)を探せたのは昼近くだった。
未來ちゃんと変態消防士が見ているなか、焼け跡からやっとの思いで見つけ出した爺ちゃんの花鋏(はなばさみ)は…真っ黒で「今世紀最大の業物」感はゼロだった。
でも、俺があの家から出ていく際に爺ちゃんがこっそり渡してくれた物だ…真っ黒でも…これだけは、探しだしておきたかった。
「爺ちゃんは…皇輝(こうき)の生ける華が…好きだったよ」
唯一…そう言ってくれた爺ちゃん…
「生活に困ったら――――コイツを売ればいい…結構な値段になるから」
と、オチャメな事を言ってくれたのを思い出す。
華を続けない人間は松原家では不価値な人間だ――――…なのに、爺ちゃんは違った……ちゃんと、俺自身を見てくれていた…。
だが、爺ちゃんにも立場があり…俺をあからさまに気にかけたり、ひいきは出来なかったんだろう……。
家を出た日から――――俺は松原家とはほとんど連絡を取っていない。
もちろん、爺ちゃんともだ…。