🕯️悪夢の神様🕯️
第23章 魔女の頭
「俺…素人っすよ?」
「でも、ちゃんと基本は出来ているって――――お客様が誉めてたわよ?」
月子さんは入り口の花を見つめ「お願い」と改めて頼まれる。
俺は、ホテル側の華道家に悪い気がしてためらってしまう。
が――――…
「皇輝さん――――生けるの見てみたいです」
と、未來ちゃんが目を輝かせるので!2つ返事で生け花に手をかけた!
基本に忠実で綺麗な花に向き合い――――俺は、ふと…弟の生け花を思い出す。
『お前は真面目だなぁ~』
『兄さんが不真面目なんだ』
隣で一緒に習っていた頃を思い出す。
真面目できっちりと枠に納めようとする生け花をする弟だった――――…
その点…俺は、枠をはみ出し感性のまま生けていた…。
俺は、完成された作品から目立つ花を数本引抜き――――…
広がるように――――…
飛び出すように――――…
動き出すように――――――――…
花の位置を変えて…生けた。
数本生け直しただけだが――――俺らしい…今にも飛び出しそうな…躍動感のある生け花となった。
「///凄い――――…こっちの方が…いいです」
未來ちゃんは俺の生け花を見て驚いていた。
どれどれ~っと、蕎麦を打つ手を止めて見に来た月子さんも「やっぱり…面白いわね」と、満足そうに微笑んだ。
「ボクシングより――――こっちの方が才能あったんじゃないですか?」
と、未來ちゃんは俺の生け花をスマホで撮影すると速攻で待ち受け画面にしていた。