🕯️悪夢の神様🕯️
第25章 救い出す定義
「このまま撤収するよ――――…チャンスは…まだあるからね」
黒羽は微笑みながら電話を終わらせた。
「申し訳ない――――撤収みたいだ…」
「は?撤収……?何かあったんですか?」
警備員が、荷物を届けず帰ろうとする黒羽に声をかける。
「ええ、手違いがあったみたいで――――届ける前に連絡もらって良かったです…仕切り直しです」
黒羽は残念そうな顔で駐車場に向かおうと「では、松原さんお先に失礼します」と、背を向ける。
こいつ――――…
俺は黒羽を逃がしたくなくて「黒羽さん待って!」と、とっさに声をかけた。
「お、おい!君――――」
警備員に声をかけられたが、俺は知り合いだから!ちょっと、立ち話…的な雰囲気を纏い小走りで黒羽に近づく。