
がーるず・らぶ 里美と結の場合(R18)
第6章 あっ!と驚く来訪者
(さっきのが、まだ……)
チャイムと兄貴の呼び出し声に慌てて服を着て出迎えた時、素早くシャワーで流したんだけども……
奥の方に残っていたおりものが・・・。
おりものシート、もうひと手間を惜しまずに着けるべきだった。
悔やんでも、もう遅い。
「?どした??」
兄貴から見れば、座ったなりすぐに立ち上がる妹が不自然に見えても仕方は無い。
「ちちち、ちょぉおっとトイレ!!」
ダッシュで脱衣場へ駆け込み、新しいショーツとおりものシートを掴み取ると、その勢いのまま、どたどたっとトイレへ滑り込んだ。
「落ち着きの無い奴だなぁ」
何も知らない兄貴は呆れた声を上げている。
「良かった……染み出していなくて」
デニムの短パンには、幸い濡れている様子は無い。私はホッと胸を撫で下ろした。
もし、染みてしまっていたら、あの二人からも筒抜けで見える寝室へ替着を取りに行く事になり……何かがあったのだと感付かれてしまう。
まあ、そうならなくて良かったよ、ホント。
しかし、それだけでは安心は出来ない。
わずかなモーターの不具合から発生するわずかな摩擦臭を嗅ぎ取り出来る兄貴と、同じ香り系統の香水でも、メーカーで違う事が嗅ぎ取り出来るという特技(?)を持つ結ちゃんがそこに居るのだから。
……念には念を入れて、手を打っておこうっと。
「里美、飯の前に何食べてんだよ?」
目の前に座った私が口をモグモグしているのを見て、兄貴が呆れている。
「ローズモイスト?……ああ、あの、確か体から出る体臭をバラの香りに変えるって、話題になったやつかぁ」
私が差し出したガムのパッケージを見て、作戦通り兄貴が喰い付いて来た。
「ニンニク食べる前に噛んでおくとベッドがニンニク臭くならないから。兄貴もどお?」
「へえー、そりゃ凄いな」
コイツはこういう何かが反応する系統のモノの魅力に弱い。
そして
「結ちゃんも、試してみるかぁ?」
「はぁい☆ぜひ♫」
知識を共有したがり者と疑う事を知らない天然娘が手を組んで、
“バラの香りで全部誤魔化しちゃえ!"作戦はあっさり成功したのだった。
……あぁ、自己嫌悪……(汗)
