
みせてあげるね。2nd
第1章 旅行
「あのっ」
突然後ろから呼び止められた。
くるりと後ろを振り向くと、長身のスラッとした男性が立っていた。
「もしかして、1人で旅行ですか?」
「え、あ・・はい」
戸惑いながらこたえると、男性は少し照れた様子で
「実は俺もなんです。
先程から前を歩いているのが気になってて、声をかけてしまいました。
よければ一緒に歩いていいですか?」
さっきからこの人のことを何度も追い抜いたり追い越されたりしていたので、私も存在には気がついていた。
「いいですよ」
鍾乳洞の中ですれ違う人の多くがカップルだったり家族連れだったりするので、正直1人で歩いているのが少しさみしくなってきていた。
