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ぼっち─選択はあなたと共に─

第3章 帰らずの洞窟【選択1】

「そこに入るのはやめときな、生きて戻ってこれねぇかもしれねぇぜ」

 その時、木の上から男の声がした。

「……ゼノっ!?」

 どこかで聞いたことがある声だと思ったら、木の枝から赤髪のゼノが飛び降りてきた。

「なんでここにっ……」
「言っただろ? ここは俺たち盗賊の縄張りだって」

 腰に短剣を装備し、薄汚れた服を着たゼノはニヤリと笑った。

「……生きて戻ってこれないってどういうこと?」
「ここは帰らずの洞窟っていって、今まで何人もの盗賊や商人が宝を探しに入ったが、誰も戻って来なかったんだ」
「!」
「それを知ってる奴らは誰も近づきやしねぇよ。でもあいつは……あの女は入って行った」
「ナツミさんを見たの!?」
「あぁ……やっぱりあの女がナツミだったのか」

 ゼノはチッと舌打ちする。

「仕方ねぇ……最悪ルビーの指輪だけ回収できりゃあいいか」
「だめ! ナツミさんも生きて連れ戻さなきゃ!」
「あぁ? それは俺には関係ねぇだろが……って、あんた……」

 自分を睨み付けるヒカリの顔を見て、ゼノは首を傾げる。さっき出会った少女はこんなにも強気だっただろうかと。

「ヒカル様っ!」

 その時、背後からヤクモの声が響いた。

「ヒカル様から離れろっ! ……ヒカル様、ご無事でしょうか!?」
「大丈夫です、ヤクモさん。彼は情報を提供してくれたんです、この洞窟にナツミさんが入って行ったって」


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