先輩!彼氏にしてください!
第8章 危険人物
何とか、バカであってくれ、と願ったけど、聞いた大学名は有名な国立でテンションが下がる。
────────── 明るくて、笑顔が素敵で、みんなに慕われてて、優しくて、大人で… 頭が良くてスポーツしてて、体も筋肉がムキムキで、よく食べる……つまりは谷川くんとは正反対の人! それが私のタイプ!
この、アラタ先輩ってやつはつまり、ほのか先輩のドタイプってやつなんじゃ……
「それで、なんで突然、来てくれたんですか?」
案の定いつもより、ほのか先輩が女を出しているように見える。
早く帰って欲しい。そう願いながら、ジリジリとほのか先輩に近付いた。
「ん? そろそろ文化祭だし、忙しい時期だろ? 何か手伝えることないかなって」
「そんな、大丈夫ですよ。それにアラタ先輩だって忙しいのに…」
「いいんだよ。特にほのか。お前はすぐ自分一人で抱え込むから、パンクしてんじゃねぇの?」
そう言ってアラタ先輩はほのか先輩の頭に触れようとしている。
それを見て僕は反射的にその手を払い除けた。
「───── ほのか先輩には僕がいるんで。大丈夫です」
「ちょっ…谷川くん!」
僕の背後で叫ぶほのか先輩の声を聞きながら、僕は呆然としているアラタ先輩をキツく睨みつけた。
こいつは、間違いなく危険人物。
星野先輩の比じゃない。