先輩!彼氏にしてください!
第8章 危険人物
「教えてやるけど……発狂したりするなよ…?」
ひそひそ声で耳打ちしてきた星野先輩は、何故か僕の反応を気にしている。
それだけで発狂しそうなくらいやっぱり嫌な予感がした。
「多分……安藤は、アラタ先輩の事…昔、好きだったんだと思う」
「……っ…」
ほのか先輩の、好きな人─────
やっぱりだ。
前言っていたほのか先輩のタイプまんまのような人だから…
「………付き合っ…て……たん……ですかね…」
「おい、ホマレ…大丈夫か?」
「いいから!! 教えてください!!」
「い、いや、それは…ないと思うけど…な」
星野先輩の言葉に少しだけ安堵したところで、「でも…」と言葉が続いたのを聞いて、ビクリと体が震えた。
「でも……?」
「………一年くらい前…この部屋で、あの2人が…キスしてんの、見ちゃったことがあって」
「っ……き、す…」
─────────── キス……したことありますか…?
同じくこの部屋でほのか先輩に尋ねたことがある。
その時、ほのか先輩ら明らかに動揺した素振りを見せていた。
「あれ…あいつのことかよっ……」
「ん? 安藤、その事お前に話したの?」
「いや、話してはないですけど…っ」
今でも、あの時の先輩の一瞬見せた色っぽい顔を思い出せる。
僕の知らない過去。
それが異様に怖くなって、僕は再び楽しそうに話す2人を見つめた。