先輩!彼氏にしてください!
第1章 彼氏にしてください!
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喉が乾いた。
授業が終わったら、いつもの野菜ジュースを買いに行こう。
ぼんやりとそんなことを思いながら、先生の板書をノートに写す。
すると、1分もしないうちにチャイムが鳴って学校全体の音が賑やかになった。
「あーごめん、ちょっとキリ悪いからここまで説明させてー」
先生はそう言うと、みんなが「えーー」と声を上げた。
正直同じ心境だった。
野菜ジュース買いに行く時間ないじゃん。
みんなと同じように「えー」と声を上げたい気持ちを抑える。
何故なら、私は優等生で、生徒会長だから、だ。
「ねぇーまだー?先生」
「あと少し、えーと……はい…!ここまで! よし挨拶はいいから、ノート取り終わった人から休み時間にして! 延びてごめんなぁ」
汗を拭った先生は、ふぅと息を吐く。
そしてそのままチョークやらなんやらを片付けるとそのまま教室から立ち去った。
合わせて急いでノートを書き終えた私は黒板の上の時計を見て、はぁ…とため息をついた。
案の定野菜ジュースを買いに行く暇はない。
あと一コマ授業があって、そのあとようやくお昼休み。
それまでの辛抱、か……
「ほのかーー?」
遠くで友だちの麻理(まり)が私の名を呼んでいる。
パッと声のする方を見ると麻理は私に近付いてきて引き攣った笑みを見せた。