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先輩!彼氏にしてください!

第1章 彼氏にしてください!



「なに…」


「ほら、あの……例の後輩くん、入口で呼んでるよ」



ゲッと声を上げながら、麻理の背後をチラと見る。


よく顔は見えないけどニコニコと笑いながら、そいつは私に向かって大きく手を振っている。



「熱心だよねぇ、本当毎日毎日……」



麻理の言う通り。


本当、懲りずに毎日毎日……



あのまま入り口で大きく手を振られてたら目立って仕方がない。


あの子を追い払うために、仕方なく席から立ち上がった私は、腕を組んでその男を見つめた。


目なんかほとんど見えないほど、長い前髪。


加えてひょろひょろと背が高くて、本当に頼りない体型だ。


そんなにガッツがあるタイプには全然見えないのに、3年の教室によく何度も乗り込んでくる。



「………なに…」


「あ、えと、お疲れ様です! 朝から会ってなかったのでそろそろほのか先輩の顔見たいなって思って!」



言っていることがよく分からない。




「ねぇ、そういうのなんていうか知ってる?」


「なんですか?」


「ストーカーだよ、ストーカー」


「そんな、ストーカーって呼んでもらえるほど先輩の傍にいれてないですよ」



ストーカーって『呼んでもらえるほど』……??


いつもの如く彼の発言は理解不能だ。



「てか先輩、そんなことより、これ」



『そんなことより』とは……?


言い返そうとしてると、彼は野菜ジュースのパックを私に差し出した。




「………え」


「ほのか先輩、いつもこれ飲んでますよね!」


「………………」


「そろそろ、先輩の喉が渇くからなんじゃないかなぁーって」




…………ホントに、キモチワルイ。




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