先輩!彼氏にしてください!
第1章 彼氏にしてください!
ようやく、授業が終わってお昼休みが始まった頃。
私は机の上で伸びをして右肩をグルグルと回した。
「ほのか、一緒に食べよー」
「あ、うん」
背後の麻理から誘われて私は立ち上がる。
私はいつもお弁当を持ってきていて、そして麻理は食堂でいつも買う。
だから、私も麻理についていって食堂で一緒に食べている。
ガヤガヤと賑やかな食堂で席を取ると、一緒に列に並ぶ私に麻理が首を傾げた。
「あれ? 今日はお弁当じゃないの?」
「それがさ、ご飯炊けてなくて…」
「あ〜そうなんだ」
私らしからぬ痛恨のミス。
夜中、めんどくさいと思いながらお米を研いだっていうのに、肝心の予約ボタンを忘れてしまった。
朝起きて、炊飯器の中を覗いた時の絶望感たるや……
年に何回か疲れている時にやってしまう失態、だ。
適当な定食を頼みさっき取った席に戻ろうと思ったところで、ゾワっと寒気がした。
「あ、ほのか先輩! 授業お疲れ様です!」
「……………そこ、私の席」
「はい、温めておきました」
「……エ…………」
立ち上がった谷川くんは、スッと隣の席に移動して腰を下ろした。