
先輩!彼氏にしてください!
第1章 彼氏にしてください!
少し乱暴に定食を机の上に置いて、ゆっくりと席に座る。
さっきまで谷川くんが座っていたからか、変にぬくい。
それに鳥肌を立てていると、同じくご飯を買い終えた麻理が私の向かいに座った。
「ん、あ、あれ? 後輩くんじゃん」
「………どうも」
麻理にぶっきら棒に挨拶した谷川くんは私の方に視線を移して「あれ?」と声を上げた。
「今日は、お弁当じゃないんですか」
「…………関係ないでしょ」
「作るの、めんどくさかったとか?」
「…………………」
「ほのか先輩にもそういう日があるんですね」
完全に無視して手を合わせた私は定食に手をつける。
でも、麻理と話せないどころか、ご飯も食べづらいと思うほどに横からの視線が痛くて、一旦お箸を置いた。
「………食べづらいんだけど!」
「僕明日から先輩のお弁当作ってきます!」
こんなに完全無視なことってあるだろうか。
「嫌いな食べ物とかあります? 僕の調べた限りだと、確か茶碗蒸しの中のギンナンが嫌いってくらいなんですけど…他に調査漏れあります?」
「………………」
「卵焼きは甘いのがいいです? それともしょっぱいの? あと、梅干しの塩分は何%────」
「───── うるさい!」
堪えきれず言葉を遮ると、周辺もびっくりしたようにシン…と静まり返った。
黙って聞いていれば……
なんかこいつ調べたとかなんだとか言ってなかった?
たしかに茶碗蒸しの中のギンナンは嫌いだけど…それってどこのデータベース調べたら出てくるの…。
