先輩!彼氏にしてください!
第7章 天才の苦悩
────────── キスも拒めたのに、そのまま受け入れたり、ほのかからキスしたり、週末だって
麻理の言葉が頭の中でグルグルしている。
言われなくても、自分の行動に矛盾があるのは何となく分かってる。
だけど……
「認めたくない、だけでしょ?」
「ちが─────」
「──── 『ずっとキモチワルイと思ってた谷川くんを好きになるだなんてダメ』」
「……っ………」
「『そんなの私らしくないし、違う!』って」
「………その…変な声真似やめて」
話を逸らすと、麻理はケタケタと笑った。
麻理の言葉はまさに私の脳内の言葉とシンクロしていて、居た堪れなかった。
「意地張らなくてもいいのに」
「………意地張ってないって。仮に、私が谷川くんのこと好きだとしたら…私とんでもないドM女じゃん」
「え? そうじゃん?」
首を傾げた麻理にギョッとしていると、麻理は呆れたようにハァとため息を吐いた。
「私、ほのかよりほのかの事分かってそうだなぁ」
「ひっ、人を変態みたいに言わないでよ! ドMなんかじゃないってば!!」
私の必死の抵抗も麻理は「はいはい」と言いながら、いなす。
さらに抵抗しようとした時にはチャイムが鳴ってしまい私は消化不良のままその後の授業に臨んだ。