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その数、ざっと30ばかりだろうか。
ちなみにあまり動けない赤ちゃんやお年寄りは、今回は参加をしていないそうだ。

彼らは私たちの元にやってきては、フンフン匂いを嗅ぎに来たり声を掛けたりしてくれる。
小さいものも大きいものも、女性も男性も。

元々警戒が強いのだろうが、その中にも隠し切れない好奇心。 そんなものが垣間見えた。


『今々は私の親族という事にしておいてくれるか』


紹介される前に言われたそんな朱璃様の言葉を不思議に思いつつも了承したが、どう見ても無理があるのだろう。


「真弥どのは、朱璃様とは見た目が全く違いますなあ。 人間とはそんなものなんですか」


ええ、まあ。 そんな曖昧な返事をして笑顔を作る。
身長差に限ってはどうしようもない。
そんな事を思いながら、私と反対側に座っている彼らの方に関心を向ける。


「二ノ宮さん、ささもう一献」


宴が始まってから、しきりに周りからお酒を勧められているのは二ノ宮叔父。


「保って言ったか？ 替えの皿を持ってきてくれ」


いきなり他の狼にパシらされているのは二ノ宮甥、つまり二ノ宮くんだ。

上座の中央を空けて、座している朱璃様の隣に私の席がしつらえてあった。
あの真ん中の席は、今は不在であるここのリーダーのものなんだろう。

それはさておき、二ノ宮くんの扱いを不思議に思って見ていると、朱璃様がお酒をくいとひと口口に運び、その理由を説明してくれた。


「真弥はみなから見ると客人だが、あの二人はここに属する者になるわけだからなあ。 力の有無で対応が変わるのは、ここでは仕方の無い事なんだよ」


そこで朱璃様が続けてここでの力関係を説明してくれる。


「トップであるのが始祖の直系、それからその親族。 次に重要視されるのが年齢や子の有無。 個々の力は三番目。 こういう場ではそんな風な序列だ」