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ぼんやりお姉さんと狼少年

第37章 Plan - Do


意地になってる気がしないでもない。

けれどここは引いちゃ駄目だと私の意志が告げている。


「それでも来ないで。 琥牙は自分の仕事を優先してよ。 守られてばかりなんていやだもの」

「これだけおれたちと居て分からない? 保くんだって、一般人からすれば充分脅威なこと位」

「じゃあここで一人でじっとしてろっていうの? 私はそんな人生やだよ。 そんなに私が邪魔なら、好きにすればいい! 縛り付けるなり殺すなり、すれば?」

「……………」


琥牙が表情を強ばらせる。
立ち上がった私に雪牙くんもたじろぎつつも、なにか言おうとしたけど止まらなかった。


「私は琥牙と一緒に生きたいの! 琥牙の世界に関わりたいの。 私が決めたんだよ。 いい? なんと言われようが、死んでも譲らないんだから!!」


手のひらを胸に当てて全力で琥牙を見返した。

だって私が離したらきっと終わりだ。

自分の道は自分で決める。

その後、断ろうが嫌がろうが無駄だと言い切った私に軽い笑みを洩らした伯斗さんが視界に入る。


「に、兄ちゃん。 また怒ると」


無言のまま脱力したようにその場にしゃがみ込んだ兄に、雪牙くんが傍に寄りおそるおそる声をかけた。


「…………い」

「え?」

「ムリ。 絶対無理。 滅茶苦茶にしたい。 犯り続けていっそ頭から食いたいこの生き物」


顔を伏せてボソボソ独りごちる彼の、なんの琴線に触れたのか。 ひえっと声を上げそうに後ずさる私と再び真っ赤に固まる雪牙くん。


「琥牙様。 勇ましくもいじらしい真弥どのを見て発情するのは分かりますが、だから若者の前で過激過ぎますって」


そんな伯斗さんのやや恥ずかしい指摘に否定も返さず、あーくっそ。 およそ彼に似つかわしくなく、苛立たしげに罵りを繰り返す琥牙だった。




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