ぼんやりお姉さんと狼少年
第37章 Plan - Do
「…………」
冷えた肩を両腕で抱きしめつつ部屋に入り、ベランダの戸をカラカラと閉めてから、ほう、と甘いとも困ったともいえるようなため息をついた。
まだ今晩の事後の名残りも消えたわけじゃない。
琥牙が帰ってきて、した時は翌日までこう。
そんな夜は特に、彼に普通に甘えながらくっついて眠りたいんだけどな。
こんな風に引き摺って発酵して膨らみ続ける心を、それを持て余してしまう体を、私に気付かせたのも彼だけだ。
成長なんかしなくても、目に見えるほどは分からなくっても、あの呑気な狼さんは、こんな私の変化を分かってくれてるんだろうか?
それは置いておいても。
マグカップに残っていたすっかり冷めたお茶をこくりと飲んで今晩の彼らの話を考えてみた。
色々謎はあれどもとにかく、私はいくら琥牙たちからとはいえ、他人が見聞きしたものだけじゃどうにもないと思っていた。
卓さんに会う……のは、いくら何でも無鉄砲かも知れない。
「それでもなんかこう、引っかかるのよね」
察しの良過ぎる彼ら。
逆にそのせいで、大事なことを見過ごしてやいないのだろうか。
特に私のこととなると視野狭窄気味になる琥牙とか。
キッチンのカウンターに置いてある時計を見ると、もう午前一時を回っていたことに気付いた。
明日は木曜だから、とにかく寝なきゃね。
冷たいベッドを恨めしく思いつつモソモソとベッドに潜り込み、考えごとは脇に避け、無理やり気味に目を閉じる。