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ぼんやりお姉さんと狼少年

第38章 不倫、バトル、なんで恋? 前編



「やっても痛がって泣かれるのが殆どで、逆にガバガバで気持ちよくないか。 そんなことしてる内に具合のいい受け皿見付けて、もうそこに収まっちゃったってゆーか。 あ、ちなみに人姿でやんのも結構きもちーよ」

「それって獣か……」


前言撤回。

やっぱ変態じゃん。


「受け皿ねえ…? それだけじゃないと思うけどな」




****

───────そして冒頭の場面に戻り、私たちは密室で下らない性談義をする羽目になったわけだった。



「でも、相手がなんだろうと、伴侶を持つ気はないの?」


余計なお世話かも知れないけど、琥牙の里では成人した狼は伴侶や子を持つのは当たり前、とされる風習なはずだ。
そんな私の言葉に気を悪くするわけでもなく、二ノ宮くんがやや神妙な表情で答えた。


「その気はあるんだよ。 でも、オレみたいのは人としても狼としても中途半端でさ。 だから琥牙さんみたいのはちょっと憧れんだよね」

「憧れ?」

「同じ人狼で、向こうの方が複雑な状況だったのに、真っ当に育ってんなーって思うんだよ。 多分周りの環境と、育ての親の朱璃様が人間だったせいだろうけど。 オレは親の顔も知らないし、ずっと自分の正体隠して生きてきたから」

「でも、叔父さんがいるんじゃないの?」

「就職とか諸々、諸事情で便宜的にそうしてるだけ。 出身が同じだからなんらかの関係はあるんだろうけど、血縁は無いと思うよ」


血は繋がってないのか。
そう言われると確かに、あの隆々として瞳の色も珍しい卓さんと、ほぼほぼ日本人らしい外観でかつ、小柄な二ノ宮くんは異なりすぎている。



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