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この夏、君に溺れた

第6章 夢の終わり

先生の体が離れると、寂しくなる。

「先生……」

いつかのように、先生の腕に絡みついた。

先生の体は、汗でヒヤッとしていて、気持ちがいい。


「あっ、先生。小説の見直しあるんだよね。」

私は先生の腕に絡ませていた手を離した。

すると離したはずの先生の腕が、今度は私の頭を通って首へと回る。

「いや、今日の夜はいい。」


盛り上がった腕の筋肉。

浮かび上がった鎖骨に、見えるか見えないくらいの無精髭。

伸びかけの前髪から覗く、切れ長の目に、私の胸がキュンとなる。


「言われてみればここ最近、スキンシップもなかったもんな。」

スキンシップ?

これって、スキンシップなの……か?

「やるべき事はする。仕事も恋愛も一緒。」

「はあ……」

「言ってくれて……よかっ……た……」


そのままスヤスヤと、寝始めた先生。

これが先生の寝顔を間近で見る事ができる最期の夜だ。

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