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この夏、君に溺れた

第6章 夢の終わり

塾が終わると、私は駆け足で先生の元へ帰った。

「おっ!お帰り、うわっ!」

「先生!!」

私は先生の姿を見るなり、抱きついた。

「どうした、芽依。そんなに俺の事、恋しかったのか?」

「先生……」

「な〜んちゃって!」

先生は私の頭を2、3回撫でると私を引き離そうとした。


嫌だ。

先生と離れたくない。


「芽依?」

いつもと違う私に気づいたのか、先生は無理に離れようとはしなかった。

「どうしたのかな、芽依ちゃんは。」

そう言って、私をぎゅっと抱きしめてくれた。


決して振り向いてくれないと思っていた人が、今私を抱きしめてくれている。

それは奇跡だと言うのに。


「芽依ちゃ〜ん。そろそろ家に帰る時間じゃないですか〜」

それなのに、タイムリミットは確実に近づいている。

「……帰りたくない。」

「は?」

「ずっと先生と、ここで暮らしたい。」


先生は抱きしめる力を強くした。

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