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この夏、君に溺れた

第7章 もしも許してくれるのなら

美羽ちゃんに肩を揺らされて、お店の通用口から出たら、そこに葉山君がいた。

「お疲れ様。」

癒される笑顔で、葉山君は私達に寄ってくる。

「じゃあね、芽依。私、こっちだから。」

美羽ちゃんは、同じ方向に帰ると言うのに、気を使って別に帰る。


「行こうか。」

葉山君が先に歩きだした。

「あの……葉山君。」

「うん。」

爽やかな笑顔。

医大生と言うレッテルが、よく似合う。

「毎回、言ってると思うんだけど、私、一人で帰れるから。」

「夜道、女の子一人で帰るのは危ないからって、俺も毎回言ってる。」

さらりと返す時も、ニコニコ笑顔を崩さない。

そこはさすがだと思う。


「行こう。電車が来ちゃう。」

そして毎回このセリフで、駅までの道のりを葉山君と一緒に歩くのだ。

「でさ、同じクラスに女子もいるんだけど、解剖の授業で倒れちゃって。」

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