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この夏、君に溺れた

第7章 もしも許してくれるのなら

毎回聞く話しは、葉山君が通う医学部の事。

私に話を聞いても、あまり答えてくれないと悟った葉山君は、自分から話の内容を変えてきた。

「教授に聞いたら、毎年何名かは、失神するんだってさ。」

「へえ……」


その時だった。

電車が大きく揺れた。

「あっ、」

「危ない。」

倒れそうになった私を、葉山君が支えてくれた。

「大丈夫?」

「うん。」

バッグを直して、定位置に置いた右手に、葉山君の右手が当たった。

「ごめんなさい。」

振り払おうとしたら、葉山君の右手がそのままついてきた。

「葉山君?」

「……もう少し、このまま。」

耳元で優しく囁く。


脳裏に浮かぶあのシーン。
















『もし許してくれるなら………』

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