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この夏、君に溺れた

第7章 もしも許してくれるのなら

「いいんだ、それで。」

葉山君は苦しそうに言った。

「俺も一緒だと思うから。」


その言葉が、とても胸が切り裂かれる思いに違いないと思った。


先生が結婚すれば、諦められるか。

そんな事はなくて、きっと胸の中に悶々と、先生への想いが渦巻くと思う。

それをずっと、私は持ち合わせていて、何年ヵ後。

偶然いわせた相手を、そこまでも思えなくて、死ぬまで先生を好きな気持ちを持ち合わせているかのと思うと、自分がとてつもなく大きな罪を背負っているかの如く思えた。


そしてそれを葉山君も背負っている。

私はどこまで、人に罪を背負わせば、気がすむのだろう。

そう考えると、胸が苦しくて苦しくて、仕方がなかった。


「そんなに、重く考えないで。」

葉山君はそう言ったきり、私に背中を向け、2度と戻ってくることはなかった。

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