テキストサイズ

この夏、君に溺れた

第7章 もしも許してくれるのなら

私は、余計に恥ずかしくなった。

「すみません。」

「いや。嬉しかったよ。」

「えっ?」

私はその隣に立つお兄さんを、じーっと見た。

「芽依、俺だよ。俺。」

少し伸びた前髪から覗いた目。

それは……


「先生!?」

目を大きく見開いて、口をあんぐり開けている私を見て、先生はまた笑っている。

「しっかし、去年と同じワンピース着てるって。成長してるのか、してないのか、分からないな。」

覚えてくれていた。

しかも、着ていた服まで!

「……先生は、変わった。」

「ああ、スーツ着てるからな。」

先生は、上着の襟を直した。

「……一年前は、ボロボロの服を着てたのに。」

「ボロボロって……」

「髪もボサボサだったのに。」

「そこまで言うかよ。」

困った顔をした先生が、私の気持ちを蒸し返した。


「先生!」

「うわっ!」

思わず先生の胸に、飛び込んだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ