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この夏、君に溺れた

第7章 もしも許してくれるのなら

「えっ?芽衣?」

「先生、先生!」

あの別れた先生が、目の前にいる。

嘘じゃないよね。

嘘じゃない!


「芽衣……取り合えず、外に出ようか。」

「えっ?」

「……周りの人が見てるから。」

ハッと我に返って、周りを見ると、こっちを見ていた人達が空咳をしながら、視線を反らしていく。

「はははっ……」

恥ずかしくなって、抱えていた先生の本を持って、カウンターに向かった。

お会計の時も、先生はこっちを見ている。

おかげで、カウンターのお姉さんに、変な人扱いされた。


「お待たせしました。」

「ううん。」

スーツを着た先生に、ドキッとする。

まるで一目惚れをした、国語の先生の時と被る。

夏の日差しみたいに、眩しい。


「芽衣、少し歩こうか。」

「うん。」

そしてまた私達は、駅前の道を一緒に歩く事にした。

「あー、暑いな。」

先生は、日差しを手で遮った。

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