双龍の嫁
第2章 風龍
その塊がぐぐぐと腟内の抵抗を押しのけながら、わたしのお腹の側を圧してきました。
その熱と質量に目がくらみ、切羽詰まった喘ぎと共にわたしは夫の胸に倒れこんでしまいました。
一寸の隙間もなく埋まっているそこからは、ドクン、ドクンと脈打つ鼓動まで聴こえてくるようでした。
「女の体の最も柔らかな部分を、そんな風に窮屈に締め付けるものではない」
反対に男性の最も硬い器官で杭うたれるのは、水の中と違い、なんとも言えない重苦しい感覚でした。
軽く広げたわたしの脚ががくがくと揺れ、途切れ途切れに息を吐きます。
「あう……は、はぁ…で…です、が……っ」
「……目を閉じて、私に委ねればいい……四肢の力を抜いて……足先……指先もだ」
風の龍。
そよ風のようにささやきかけるその声が、ゆっくりと私の意識、それから体を侵略していきます。
「沙耶。 お前の体からは何が聴こえる? 悪いものではないだろう……」
腹部の、子宮の辺りは熱がこもり、こぽこぽと泡立っていました。
それが小さく弾けて胎内を触るたびに、溶けそうな快感が走ります。
それと呼応するように、後ろにある水龍の欠片はまた体積を増やしていました。
窮屈でむずがっているというよりは、自分を主張しているような動きでした。
わたしが体を弛緩させればさせるほど、その身をぬるぬるとうねらせ、伸び縮みを繰り返します。
そんな風だったから、余計に幾重の感覚に戸惑い、堪え難く感じてしまったのでしょうか。
わたしは二人の龍を夫に持つ妻です。
夫たちを鎮めるそのやり方を、わたしはちゃんと知っているはずです。