双龍の嫁
第2章 風龍
どうやら彼らの間にも序列のようなものがあるようです。
それに、彼は水の龍を馬鹿にしたわけではなさそうでした。
「まだ不慣れだったのはそのせいもあるのか。 では私も、そのようにお前を扱ったのは正解だったかな」
わたしの上半身を抱え直した夫は、ひたとわたしの両の瞼に指を添わせます。
「沙耶、口付けの時は少しずつ息をしていい。 目も閉じておけ」
そう言われて咄嗟に目を伏せました。
また唇にやわらかな粘膜が押し付けられましたが、それは少しずつ、わたしを咀嚼してゆくような動きでした。
口内を吸われ、なぜかぐらりと体の力が抜けていきます。
「ふ……あ…の、話すのは、駄目…ですか」
「駄目だな」
どこか笑いを堪えたような彼の声でした。
もごもごと口を動かしているわたしの顎をつまんだ手が、頬骨の下に添えられて、彼の舌がいっぱいに割り入ってきました。
「ッんむ……ん、ン」
吐く息の合間に漏れそうになる声を抑えようとすると、受け切れない睡液が顎を滴るのが分かりました。
それはまるで媚薬のように、頬の内側や喉に、塗りつけられていきます。
「ふっ……ウう…ん…」
気が遠くなるほどの長い口付けに思えました。
夫の手がわたしの胸に沈み、絶え間なく揉みこんでいる間。
その先をぴんと弾いたかと思うと切なく摘まれて、それを詫びるかのようにまた乳房全体を優しくすくう間。