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双龍の嫁

第3章 茶話会


……とはいえ、わたしもまだまだその辺りのことは、他人に語れるなどという知識も経験も持ち合わせてはおらず。
困って土の嫁に救いを求めようとしたそのとき、なにやら、おしりの辺りが急にむずむずするのを感じました。


「………っ?」


風龍から言われたとおりにそこに収めたまま、毎朝体とそれを清めて身に付けている、もう一人の夫のしるしです。

わたしの中でそれが流線の体が膨らませ伸び縮みを繰り返していました。

おそらく璃胡と同じくらいに顔が赤くなっているわたしを見て、潤香が怪訝な目を向けてきました。


風龍と愛し合った昨晩もですが、近頃はめっきり大人しくしていたというのに突然どういうことでしょうか。


「沙耶さん? どうなさったの?」


「────────沙耶」


わたしの名を呼ぶ静かな男性の声の方向を見て、ちょうど前に座っていた火の嫁が手にしかけていた湯呑みからそれを外しました。

彼女の、余分に大きく見開かれた目にわたしも後ろを振り返ると、一人の男性がこちらへゆっくりと歩いてきているところでした。


蒼くくすんだ長い髪と瞳の持ち主の、一見奇怪な色彩の人でした。
灰褐色の地味な着物を羽織った姿は長身ではありますが痩躯というほどでもなく、けれど長い手足と高い鼻梁はどこか異国の雰囲気を纏っています。



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