双龍の嫁
第4章 双龍の嫁
それから祖父母はわたしの面倒をみてはくれましたが、正直いって彼らとは折り合いの良いものではありませんでした。
自分の一人娘である母を奪った男の子供。
彼らはそんな風にわたしを見ていたのかもしれません。
……とはいえわたしは、もうこれも亡くなったと風の便りに聞いた父を憎んではおらず、祖父母に対しても当たり前に感謝の気持ちを持っています。
祖母にもよく言われたものですが、わたしは元来呑気というか、そういう性質なのかもしれません。
「だって一人の生活でも、何とかなると思っていましたし」
周りの大人が大いに心配していただけで、わたしは身の回りのことは早くからひと通りできましたし、母から裁縫やら畑作りや炊事も叩き込まれていました。
それでも傍から見聞きすると不幸な身上だと思われるので、水龍にもあのように気をつかってもらうのは─────彼の優しい性格なら無理からぬことですが、正直、困ってしまうのです。
あの場から早々に逃れたことにほっとしつつ、わたしは裸足になって浅い川に足を踏み入れ、両手で掬った水でぱしゃぱしゃと顔を洗いました。
「…………?」