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騎士様は私のボディーガード

第8章 騎士様、行かないで!

やっぱシリウスに話した方がいいよね……。
今夜は遅くまで仕事みたいだから、明日話そう。



「楠さぁん、これお願いね!」



広瀬さんはドスンとファイルを私の机に置く。
毎回毎回、厭きないなぁ……。



「ふふ、今日もデートなの」



そう勝ち誇った顔で言うと、広瀬さんは事務所を出て行った。



もしかして広瀬さんって私にしか威張れないのかな……。



そう思ったらなんだか笑いが込み上げてきて、少しだけ残業していこうかなって思った。
この前休んじゃったし。



カチャカチャとファイルのデータをパソコンに打ち込んで一時間経った頃、



「あれ、まだ残業してたんだ、美桜ちゃん」

「あ、伊藤さん。お疲れ様です」



職人の伊藤さんが事務所に入ってきた。



「……今日彼氏は迎えに来ないの?」

「えっ?」

「あ、何度か見かけたから……彼氏なんだよね?」

「あ……はい」



ひゃ~、まさか伊藤さんにも見られてたなんて……。
広瀬さんには最初従兄だって伝えたけど、バレてるみたいだし、まあいっか……。



「しまったな、もっと早く誘えば良かった」

「え?」

「美桜ちゃん、今から一緒にご飯食べに行かない?」

「えっ……」




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