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騎士様は私のボディーガード

第8章 騎士様、行かないで!

じゃあもしかして伊藤さんは私に辞めてほしくなくて、わざわざ事務所に寄ってくれてたのかな……?


伊藤さんに帰りなって言われるたびに、すごくホッとしてた。


どうしよう……
そんな話聞いたら無下に断れないよ……。



「あの……気にかけてくださりありがとうございます。じゃあ、駅までお願いしてもいいですか?」

「ああ、いいよ」



伊藤さんはにっこり笑った。



帰る準備をしたあと、伊藤さんが事務所を閉める。
目の前に停めてある車のドアを開けると、



「どうぞ、美桜ちゃん」



助手席に座るようにエスコートしてくれた。



「お邪魔します……」



車内はジャズの音楽がかかっている。
ちょっと大人な雰囲気にドキドキした。



「あの……広瀬さんのことは、伊藤さんしか知らないんですか?」



なんとなく気になって聞いてみた。



「ああ、あいつはそういうとこ、うまくやるからね。社長とも繋がってるみたいだし」

「え? 繋がってるって……」

「愛人ってこと」

「えっ!?」



広瀬さんと社長が!?



「だから広瀬のわがままが通るのも、社長のお陰ってわけ」

「……っ……」



なんかすごい、昼ドラみたい……。



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