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騎士様は私のボディーガード

第8章 騎士様、行かないで!

「安心して、美桜ちゃんのことは俺が守るからさ」

「えっ……」



不覚にもドキッとしてしまった。
伊藤さんって、ほんと優しい人だな……。



「ああ、美桜ちゃん、ごめん。この道混んでるから違うルートで行くね。確かS町だったよね?」

「あ、はい。お願いしま……」



あれ?
私、住所教えたっけ?



車は繁華街から街灯の少ない道路を走っていく。
大きな公園に差しかかった時、私は「ここでいいです」と伝えた。



「え、真っ暗じゃん。こんなとこ歩いてたら美桜ちゃん、痴漢にあっちゃうよ」

「大丈夫ですよ、今まで痴漢にあったことないですし、慣れてますから」



電車で痴漢にあったことは別として。



「油断は禁物。家の前まで送ってくから」



そう言うと、伊藤さんは車を公園の端に止めた。



「歩きならいいよね?」



伊藤さんは私のことを気遣ってか、一緒に車から降りてくれた。



「すみません……」

「気にしないで、俺の自己満足だから」

「……っ」

「それに美桜ちゃんに何かあったら、彼氏心配するでしょ? だから彼氏が迎えに来れないときは俺に頼っていいから」

「伊藤さん……それ、いい人過ぎます」

「はは、よく言われる!」



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