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騎士様は私のボディーガード

第8章 騎士様、行かないで!

結局アパートの部屋の前まで送ってもらってしまった。



「じゃあ、また明日」

「はい、送ってくださりありがとうございました」



私は伊藤さんの背中を見送る。
そしてガチャガチャと鍵を開けていると、なんとなく隣から視線を感じた。



「……っ!」



隣の部屋の扉が少し開いている。
視線はそこから感じた。



やだっ……!!



私は急いで部屋の中に入って、鍵を閉める。



「なに……今の……」



隣のおじさんが、私を見てた?



まさかまた、苦情を言おうと思って……?



でもいつから?


私が帰ってくるのを耳を澄まして聞いてたの?



やだ、気持ち悪いっ……



私は深呼吸をして、自分を落ち着かせた。
シリウスはまだ帰っていない。


シンと静まり返った暗い部屋を見て、すごく心細くなった。



「……っ……」



シリウスが元の世界に帰ったら、またこんな寂しい生活が始まる。



おかえりって言ってくれる声も、賑やかな食事も、添い寝してくれる体温も……何もかも失ってしまう。



怖い───。

シリウスを失ってしまうのが、すごく怖いっ……




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