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騎士様は私のボディーガード

第14章 騎士様、私の両親を紹介します

私……今、何を言ったの……?
どうして「触らないで」なんて……



「一人で歩けるから大丈夫」



また……!



どうして?
そんなこと思ってないのに!
シリウスに抱きしめてほしいのに……!



「……わかった。無理はするなよ」



あんなに冷たく言ったのに、それでもシリウスは私に微笑んで心配してくれる。



「……っ……」



ありがとうって言おうとしても、口に出すことができない。
まるで口だけ誰かに操られてるような……



「美桜さん!」



振り返ると、朝比奈さんが私の元に駆けつけてきた。



「美桜さん、良かった! 鏡から出られたんですね!」

「えっ……」



私は廃墟の階段の踊り場の等身大鏡に寄りかかっていた。今度はすり抜けるなんてことはなく、ただ姿が写るだけ。



「そうだ……私、鏡の中に入って……」



暗闇の中を彷徨っていたんだ。
それで、あの牢屋みたいな場所に辿り着いて、ローブを纏った男にキスされて、変なもの飲まされて……



「鏡の中で何かあったのか?」



シリウスが問いかけてくる。



ローブを纏った二人組の男女に……って言いたいのに声に出せない。



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